Inkdrop v4 プライベートβ公開のお知らせ

Inkdrop v4 プライベートβ公開のお知らせ
コア機能の大幅な改善: エンドツーエンド暗号化・より使いやすい検索UI・スマートスクロール同期機能など
英語の元記事はこちら
こんにちは、TAKUYAです。
Inkdropは強力なMarkdownエディタと端末間データ同期機能を備えたノートアプリです。お陰様で1,000人近いユーザの方が購読してくださり、本プロジェクトは無事3年目を迎えました!🥳 そして本日、素敵なニュースがあります。
約半年前、ロードマップ(vol.3)で説明した通り、アプリに抜本的改善を施すために再構築することを決断しました。モバイル版の再構築には6ヶ月を要しましたが、今回も同じく7ヶ月かかりました。長い旅でした。多くの作業を経て、ようやくプライベートβの公開に漕ぎ着けました。まだ改善の余地はありますが、リリースしたいと思います。課金ユーザの皆様はこちらからテストに参加できます。正直言うと、長い期間アプリを更新しないことで多くのユーザ離脱が発生するのではないかと怖かったです。大変おまたせしました。ご意見お待ちしています。
では、Inkdrop v4の改善点をご紹介します。
ノートを沢山書き溜めているノートアプリがある日突然消えてしまったら大変です。なのでプロジェクトの継続性は最重要事項です。しかしながら、実装面においてアプリは問題点を抱えていました。それは、依存ライブラリが古くなっていたり、既に廃止されたものになっているからです。それが他の依存関係に衝突を起こしたり、脆弱性の可能性を孕んでいました。これらをモダンなものに置き換えるべく、アプリのコアモジュールの書き直しが必要でした。それがアプリの再構築に踏み切った理由です。例えば、依存ライブラリは以下のように更新されました:
- React 0.14 → 16
- AltJS → Redux
- Webpack 3 → 4
- Babel 6 → 7
Inkdropのほとんどのコードはモバイルとデスクトップの両方で動作します。それによって大幅にメンテ性が向上しました。つまり、僕は1つの共通コードベースからなるアプリを5プラットフォームで動作させながら比較的簡単にメンテナンスすることが出来ます。この共通コードベースには以下のものが含まれます: Fluxアーキテクチャ(redux)、データモデル、データ同期、全文検索など。
なぜそのような事が出来たかというと、デスクトップとモバイルのアプリは両方ともにJavaScriptで書かれているからです。デスクトップ版はElectron、モバイル版はReact Nativeで開発されています。もちろん、単にJavaScriptで書けるからといってこの取り組みはそう単純ではありません。プラットフォームの違いを取り扱う必要があるからです。そのために多くの問題を解決する必要がありました。これについてはまた別途記事を書きたいと思っています。

今回、アプリはエンドツーエンド暗号化(E2EE, End-to-end Encryption)に対応しました。
データをサーバ上で暗号化しているとはいえ、僕はただの個人開発者なので、一部の方々はデータを預けるのが不安と言っていました。SOC2を取得した大企業でも無い限り、簡単にシステムの安全性を信用するのが難しいのは深く理解できます。その上、データがHTTPSで転送されていても、アプリケーションレイヤーでは平文データです。そのため、多くの人のデータを取り扱うのは僕にとっても恐怖でした。
以上の理由からエンドツーエンド暗号化を実装しました。これはアプリケーションレイヤーにおいて、すべてのデータがクライアント上で暗号化・復号化される通信方式です。デスクトップとモバイルの両方で動作します。この通信方式によって、僕らはより安心してアプリを利用し、サービスを運用できるでしょう。課金ユーザ用のフォーラムから暗号化モジュールのソースコードにアクセスできるようにしました。安全性が気になる方は覗いてみて下さい。
このリリースに伴って、サーバ上で暗号化する旧方式のAPIは将来的に廃止する予定です。

新しい検索UIはよりシンプルに、かつ直感的にノートを検索できるように改善しました。旧UIでは「book:Blog -status:completed -status:dropped」というように常にコンテキストの検索クエリが表示されていて、いささか冗長でした。そのUIは検索クエリが入力しづらいと結構不評でした。新しいサーチバーではこのコンテキストクエリが非表示なので、見やすくて入力を邪魔しません。
デフォルトでは現在のコンテキストにてノートを検索します。サイドバーの “Search All” の項目をクリックするか、Cmd-Shift-F/ Ctrl-Shift-F キーの入力で、グローバル検索モードに切り替えられます。このモードではコンテキストのフィルタが適用されず、データベース全体に渡ってノートを検索できます。

モバイル版の全文検索機能はインデクシングのオーバーヘッドがとても酷くて、検索のパフォーマンスが著しく低い問題がありました。そこで、全文検索エンジンをPouchDBからSQLite3のFTSに置き換えました。この改善によって、旧バージョンよりも大幅にスピードが向上したことを体感できると思います。

v4はノートの整理をより一層支援します。
ノートにタグを追加するにつれて、タグリストはすぐに長くなって探すのが大変になります。同様に、ノートにステータスを設定すると、どれがアクティブなノートなのか探すのが難しくなります。新バージョンではノートブック・サブメニューに対応しました。この機能は、ノートブック内でのみ使用されているタグとステータスを表示します。このメニューからすばやく目的のノートを見つけられます。
そして、サイドバーの各項目の右側にカウントバッジを表示するようにしました。このバッジは、その項目に相当するノートの数を示しています。この数字を見れば、あなたのノートの統計がすぐに確認できます。

Side-by-sideモードはエディタとプレビューのスクロール位置を同期します。しかしこの同期する位置は全体の割合ベースで合わせられるため、あまり正確ではありませんでした。MarkdownとHTMLではレンダリング後のドキュメントの縦幅が異なるからです。特に長いノートの場合、その現象は顕著でした。
スマートスクロール同期機能は、行ベースで同期することでこの問題を解決します。アプリのMarkdownレンダラーはMarkdownからHTMLに変換する際、各ブロックに該当する行番号をマークします。このマークに基づいて、プレビューまたはエディタをスクロールした時、どの行がペインの一番上に来るべきかを判断します。
モバイルネットワークは不安定でいつも速いとは限りません。なので画像をすばやく表示出来ない時がありました。これは少し面倒だったので、画像をローカルにキャッシュするようにしました。一度画像を読み込んだら、次回からはキャッシュから表示します。これでパリの地下鉄で移動していても画像が確認できますね!
みなさんのご協力がなければここまで辿り着けませんでした。そこで、本テストはまず課金ユーザのみなさんに提供したいと思います。
プライベートβに参加するには、以下のステップに従って下さい:
いつもアプリのご利用ありがとうございます!
— TAKUYA