「実装しない」機能の決め方

「実装しない」機能の決め方

「実装しない」機能の決め方

個人開発のアプリはシンプルさが肝要。AdobeやMicrosoftのような巨大企業でない限り、機能で勝負しても負けるのは火を見るより明らか。難しいことは他に任せて、自分が解決したい問題にだけ集中する。作りたいアプリ像がはっきりしていれば、機能の取捨選択は簡単にできる。

拙作のInkdropというMarkdownノートアプリも、無駄な機能を付けないように努めている。そのためならユーザの要望も遠慮無く断る。今このアプリにお金を払ってくれている人は、そのシンプルさを買ってくれていると断言できる。ユーザさんにヒヤリングした時、以下のようなメッセージを貰った:

My suggestion would be to try to keep the app clean and simple, focus on supporting developers primarily and not to over-complicate things (like basically all the other note-taking systems out there). — Inkdrop user

では具体的にどのようにしてInkdropはそのシンプルさを保っているのか、その事について共有したい。

アプリをシンプルに保つには、どの機能を「付けないか」という判断が全て。一度付けてしまったら後戻りは出来ない。機能を削ればたちまち批判の嵐が巻き起こるから。

自分はこの付けない機能を判断するために、数年前に読んだ以下の記事を今も参考にしている:

付けない機能を判断するには、まず機能を重要度によって以下の3つに分類する:

  1. Core — アプリの主要な機能。これがないと成立しないもの。
  2. Important — アプリを特徴付ける機能。
  3. Nice to have — あれば便利な機能。

LINEアプリを例に考えると、Coreに当たるのはメッセージを送る機能や友達リスト、Importantはスタンプや通話機能、Nice to haveはタイムラインや暗号化機能などが当てはまる。

アプリが未成熟の段階では、このNice to haveは全て却下するべき。「あるとよい」は「なくてもよい」と同じだから。CoreとImportantだけでまずは作ってみて、本当に問題が解決出来ているかを確かめる。そこにNice to haveの機能があると、解決できているかどうかが分かりづらくなる。Markdownノートアプリはエディタが重要なのに、PDFが添付できます!とかどうでもいいのと同じ。

ここで一番悩むのが、ImportantかNice to haveかという判断。迷った時、そこには「機能は多いほうがよい」という思い込みがある。ユーザは神様だ、顧客の声を汲み取り、製品にどんどん反映すべきだという信条。じゃあその声を余すこと無く取り入れて機能を沢山つけるとどうなるか。

まず開発の観点から言うと、機能が増えれば増えるほどプログラムは複雑化する。複雑なプログラムはバグが生まれやすくメンテコストが高まる。そして変更が難しくなって、開発スピードがどんどん落ちる。

自分が使いもしない機能を付けると、バグがいっそう起きやすい。いつの間にか壊れていて、それに気づかず放置していたなんて事はよくある。そんな機能、付けても意味ない。

Adobe製品やMicrosoft Office製品を見て欲しい。とても参考書無しに使える代物ではない。機能が多すぎると、その分使いたい機能に気づかなかったり使い方が分からない事が増える。使い方を覚えるコストを払ってまで個人開発のアプリを使おうと思う人は少ないだろう。

経験的に言ってユーザの要望は99%、他のアプリでも出来るものを投げてくる。そういう声ばかり取り入れていると、特色は失われ、誰に向けたアプリなのか分からなくなる。だから自分が別に要らないと思ったら積極的にその意見を切り捨てて問題ない。

手を動かして実装してると、なんだか進んでいる気がして安心する。でも要らない機能を付けたところで何も状況は好転しない。Brewdog創設者のジェームズ・ワットは著書「ビジネス・フォー・パンクス」で以下のように述べている:

ブランド力は常に、守備範囲の広さに反比例する。つまり、カミソリのように薄く狭い領域に集中し、最高の商品を仕上げる必要があるということだ。 — ジェームズ・ワット

機能を絞り込んで、自分の限られたリソースをそれに集中させる。それでやっと最高のアプリが作れるんだと思う。参考になれば嬉しい。

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貫禄を捨てて愛嬌で生き延びろ!40代オッサンの生存戦略

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どうもTAKUYAです。 つい先週(11月19日)に誕生日を迎え、41歳になりました。40代と言うのは若い頃には想像もしなかった年代で、どう生きれば良いのかというイメージがあまり具体的に湧かない、曖昧な年齢ではないでしょうか?自分の父親を想像するも、日中はいつも仕事でいなかったのであまり参考になりません。 自分は個人開発で生計を立てていて20代、30代で積み上げて来たものが上手く実を結んだおかげで今の生活があります。育児にも、いわゆるサラリーマンよりかは柔軟に参加できていて、子供との時間も沢山取れています。ママ友も出来ました(迷惑かけっぱなしですが)。 本記事では、そんなライフスタイルを送る自分が40代で大事にしたいことについて書きたいと思います。タイトルにもある通り、結論から言うとそれは「愛嬌」だと思います。以下、中年男性の愛嬌の重要性について説明します。 TL;DR * 「貫禄が出てきたね」と言われたら注意 * 笑顔を作れ。オッサンがムスッとしてたら普通に怖い * 謙虚に振る舞え。実績を積むと周りが萎縮する * ギャップ萌えを活用しろ 「貫禄が出てきたね」と言わ

By Takuya Matsuyama
過集中を避けるための働き方とルーティン(二児の父ver.)

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どうもTAKUYAです。 先日書いた通り、最近個人開発を頑張りすぎて体を壊してしまいました。 その原因の一つが過集中癖です。自分はもともと何かに集中すると周りが見えなくなる傾向があり、それがたまに私生活にも影響を及ぼします。同じ失敗を繰り返さないためにも、ちょっと働き方を再設計したいと思います。 働き方に対して他人の指摘をアテにしない 自分のようなフリーランサーまたは自作サービスで生計を立てている人は、時間の使い方を自分で自由に決められます。その反面、どこまでも極端な働き方が出来てしまい、それを指摘したり止めてくれる人がいないという欠点もあります。自分には妻がいますが、全く違う業界なので自分の作業ペースがどのようなものか具体的に把握できません。 「疲れた!」と言えば「休んだら?」と言ってくれますが、働き方やペース配分などにまで口は出しません。なので、他人のストップサインはアテに出来ません。 (心理カウンセラーの可能性を別途検討中) 最近子供が生まれたので厳密なルーティン実行は出来ない 一日を時間単位・分単位で区切ってルーティンを組むのは気持ちがいいですよね。僕もそうしたい

By Takuya Matsuyama
なぜ体を壊してまで個人開発を頑張るのか?自尊心の欠如や過集中癖と向き合う

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どうもTAKUYAです。最近、個人開発を頑張りすぎて体調を崩してしまいました。アトピーが猛烈に悪化して、QoLが著しく下がってしまいました。まだ療養中ですが、毎日1万歩以上歩いて、徐々に回復しつつあります。 この過ちを繰り返さないためにも、自分は一体何が原因で頑張りすぎてしまうのか?という事について深堀りして考えてみたいと思います。また、個人開発におけるメンタルヘルスはあまり語られていないトピックだと思います。本記事が、同じように仕事を頑張りすぎてしまう人の助けになれば幸いです。 TL;DR * なんとなく続けていたソフト開発が自分を救った * 原体験が歪んだモチベーションを生んでしまった * 親が引くほどの過集中癖がある * 生得的な直せないバグと考えることにする * アプリの成功に関係なく、自分をあるがままに受け入れる * 挫折しないのは、なんだかんだで前向きだから * ユーザさんから「休め!」と叱咤された * 人生は長い。個人開発なんかで死ぬな 自己の原体験について振り返ってみる 個人開発だけで生活するようになって、かれこれ8年ぐらいが経ちます。こう

By Takuya Matsuyama
ユーザサポートの問い合わせを装った攻撃が怖すぎた

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どうもTAKUYAです。個人開発をしていてアプリの知名度が上がってくると、作者個人(あるいはサイト管理人)を狙った攻撃というのをたまに受けます。つい先日も、怖すぎるメールを受け取ったのでシェアします。 件名: Cookie consent prevents platform access Hello, I cannot access use the store. The cookie consent notice keeps appearing and nothing happens once I approve or try to close it, so I’m unable to interact with the website. Please provide guidance on

By Takuya Matsuyama