印刷 / PDF出力 / 構文ハイライトの改善 / RPMパッケージの提供開始 — Inkdrop

印刷 / PDF出力 / 構文ハイライトの改善 / RPMパッケージの提供開始 — Inkdrop

印刷 / PDF出力 / 構文ハイライトの改善 / RPMパッケージの提供開始 — Inkdrop

原文: https://blog.inkdrop.info/printing-pdf-export-improved-syntax-highlighting-rpm-package-c90e3f966a7f

v3.12.0が昨日リリースされました。いろいろ新機能や改善点が盛りだくさんなので紹介させてください。

新しい実装によるプレビュー画面の構文ハイライト(右側)

たまにユーザさんから、エディタとプレビューの構文ハイライトの動作が違うことについて指摘を受けていました。これは実装方法の違いによるもので、プレビューはhighlight.jsを使用しているのに対して、エディタはCodeMirrorベースで出来ているためです。それによって動作の一貫性が損なわれていました。つい最近にも、アントンがこの事について指摘しました:

この問題は、highlight.jsとCodeMirrorで対応している言語が異なるためでした。例えば、JSXとPugはhighlight.jsではサポートされていません。違和感を覚えるのは当然でした。今まで、これは仕様ですとしか答えようがなかったのですが、ふと「CodeMirrorのシステムをプレビューのレンダリングに利用できないか?」という案を思いつきました。その方法を今まで思いつかなかったのは、Googleで「syntax highlight js」とかで検索しても出てこなかったからです。思考停止ですね。

このアイデアはアタリでした。ただ、いくつかの言語は非対応になりました (詳しくはCodeMirrorの対応言語 と highlight.jsのものをご参照ください)。しかしながら、それらはJSXやPugなどと比べて重要性の低いマイナーなものだったので許容範囲だと判断しました。もし構文ハイライトを追加したい場合は、プラグインを作ることで対応できるでしょう。

このアプローチは今取り組んでいるモバイル版のエディタ実装にも役立つと思っています。アントンを始めこのアイデアに至るきっかけを作ってくれたユーザさんに感謝します。

ちなみにCodeMirrorを使った構文ハイライトのReactモジュールはオープンソースで公開していますのでよろしければ使ってください。ちょっとまじめにenzymeなどを使ってテストも書きました: https://github.com/craftzdog/react-codemirror-runmode

InkdropはMarkdown書式の拡張に対応していて、math や sequence diagrams といったプラグインがあります。これらはMarkdownのレンダリングを拡張するものです。ちなみにHTMLエクスポートの機能も内部ではプラグインとして実装されています。問題は、HTMLでエクスポートするときに今まではこの拡張書式が無視されてしまっていたことです。でもremarkによる考え抜かれたデザインのお陰で、エクスポートによるレンダリング時にも拡張書式を使うことに成功しました。これでシーケンス図などもHTMLでレンダリングされた状態でアウトプットすることが出来ます。

先述の拡張Markdownの問題が解決したことによって、PDF出力とプリントアウトは簡単に実装できるようになりました。なぜならElectronは標準でそのためのAPIを提供していて、やる事はただ出力先を変えることだけだからです。

この機能はこの手のアプリでは標準的なものなので、やっとまともに実装できてとても良かったです。

先日フィリップがRPMパッケージ欲しいと要望を出していました:

InkdropはLinux向けにはUbuntuのみを公式でサポートしています。なぜなら、Electronコミュニティでの他のプラットフォーム向けのビルドプロセスは非公式だからです(理論上は動く)。その他のディストリビューションに対応するにはビルド作業や動作確認がすごく大変なので避けていました。でも、electron-installer-redhatを見つけたのでちょっと試してみることにしました。RPMパッケージを作ってフィリップに試してもらったら、Fedora 26で動いたと報告してくれました。

FedoraでもInkdropが動いたのはとてもうれしいです。今後のバージョンでもrpmパッケージは提供しようと思います。ただ注意点としては、Ubuntu以外のプラットフォームの動作はあくまで保証外ということです。もしインストールで問題が起きた場合は、ご自身で解決していただく必要があることをご留意ください。

Download now: https://www.inkdrop.app/Send feedback: https://forum.inkdrop.info/Contact us: contact@inkdrop.infoTwitter: https://twitter.com/inkdrop_app

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個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ InkdropというMarkdownノートアプリを作り続けて7年になる。 お陰さまでその売上でずっと生活できている。 これまで個人開発でどう継続していくかについて「ユーザの退会理由をあれこれ考えない」とか「アプリの売上目標を立てるのをやめました」とか、ビジネス面あるいはメンタル面からいろいろ書いてきた。 今回は、技術面にフォーカスして、どう継続して開発していくかについてシェアしたい。 TL;DR * 最初はとにかく最速でリリースする事を最優先する * 迷ったら「ときめく方」を選べ * 程よいところで切り上げて開発を進める * 使っているモジュールがdeprecatedされるなんてザラだと覚悟する * 古いから悪いとは限らない * シンプルにしていく * 老舗から継続の秘訣を学ぶ * 運ゲー要素は排除しきれない 最初はとにかく最速でリリースする事を目標に技術選定する 開発計画とビジネス計画は切っても切り離せない。 コーディングに傾倒するあまり完璧主義に陥って結局リリース出来ないまま頓挫してしまう個人開発者は多い

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子育て中の個人開発者の一日 どうもTAKUYAです。 久しぶりに生活まわりの事を書きたい。自分はInkdropというMarkdownノートアプリを売って生きている。 子供も無事順調に成長しており、あと数ヶ月で3歳になるというところで、イヤイヤ期もやっと終わりが見えてきた。 生活パターンもなんとなく定着しつつあるので、ここで一旦どんなルーティンなのか書き出してみる。ちなみに当方今年で40歳。 平日の1日の流れ * 06:30 妻と子供起床、朝食 * 07:10–30 俺起床、朝食 * 07:40 布団を畳んで子供を着替えさせる。妻はその間に化粧や通勤の準備 * 08:00 ストレッチと軽い筋トレ(腕立て50回、スクワット100回) * 08:10 妻と子供を見送る。15分前後瞑想 * 08:30 散歩 * 09:00 作業開始(カフェまたは家) * 11:00 昼飯 * 12:00 ダラダラする * 12:30 作業再開(だいたい家)

By Takuya Matsuyama