WWDC 2017で感じた希望と失望

WWDC 2017で感じた希望と失望

WWDC 2017で感じた希望と失望

今申請中のNISA口座が出来たらAppleの株を数万円〜十数万円ぐらい買おうと思ってる。こんなにも毎日使ってお世話になっている会社ってそうそう無いから。というのは建前で、目的は投資による資金運用の練習です。いずれにせよ、応援してるのは間違いない。

で、WWDC2017ですよ。言うまでもなく、それぞれのクオリティは物凄く高い。だからクリエイターとして言うことは特に無いんだけど、いちユーザーとしては無責任にもいろいろ思うことがある。先に褒めて、後半で落とす構成でくっちゃべりたい。

俺のiPad ProはほとんどYouTubeビューワーになっている。たまにKindle。そう、ビューワー。10万円もするビューワー。これって昔っから語られているけど、iPadがビューワーから抜け出せるかどうかっての。確かにApple Pencilで絵を描いたりフリーハンドでメモを取るという用途は満たされた。でも従来のPC的用途を代替できるかと言えば、全くない。iPadを使った方が生産性が高いと思ったことが一度もない。その最たる理由は、マルチタスクだと思う。

例えば、ロンドンの旅行計画を立てるとしよう。Kindleで地球の歩き方を読みながら、SafariでGoogle Mapsのマイマップを開いて、行きたい場所にピンを落としていく。KindleはSplit Viewに対応していないから、右側から小さいSafariのウインドウをいちいち開かないといけない。しかも衝撃的なことに、この小さなウインドウだと入力エリアにフォーカスを当ててもキーボードが表示されず文字が入力できない。だから結局アプリ切り替えをえっちらおっちら繰り返す。このフラストレーションを抱えながら計画を練るなどありえない。Kindleは早くSplit Viewに対応してほしいし、iPad向けアプリはむしろSplit View対応を審査で必須要件にしてほしい。

https://9to5mac.com/2017/06/05/wwdc-ios-11-video-dock-multitasking-drag-drop-files-pencil-annotate/

マルチタスクの機能が充実することでこのフラストレーションが軽減されることを期待している。自分がPCを手放せない大きな理由は、Cmd + Tabでアプリを瞬時に切り替えられる点。これがiOS 11のDock的な機能によってかなり近づくんじゃないかと思ってる。それと、iOS版ファインダーの復活はやっぱりアプリ間連携に不可欠だったんだろうな。良い変化だと思う。

10万円のビューワーから格上げ、期待してます。

発表の内容を見て、まず全体的に進化の内容が「線形的」だなと。つまり過去のデータに基づけばだいたい予測できるような内容。みんながやってる事を、Appleが一番お上手にやってのけて、ほらすごいでしょう?買うよね、使うよね、って感じ。

クオリティを高く作りさえすれば何でも顧客が喜ぶのかと言えば、微妙。だって、HomePodですよ。Amazon、Googleがスマートスピーカー始めたから、Appleも乗り遅れるなって事なんだろうけど、「音楽好き」にターゲットを絞ってるあたりがまず謎。だって、音楽好きは既に良いスピーカー持ってるから。それをわざわざ手放してまでHomePod買うか、と。よっぽどお金を持て余してる人か、新しいもの好きじゃないと買わないよな。だからターゲットがズレてると思う。仮に買ったとして、どこに設置すればいいか困る。iMacが目の前にあるとして、後ろにでも置けと言うのか。それとも二つ買えと言うのか。さすがにオーバースペック。

昔スティーブ・ジョブズがAppleから追放されてから起こったのは、ラインナップの乱立だった。それでAppleは窮地に陥った。で、今起こってることがまさにそれ。もうラインナップ覚えられないよ。iMac ProとMac Pro、パッと聴き一緒やん。iPad Proは9.7インチが廃止されて、ほんのちょっとサイズが大きくなった10.5インチが出た。結局AppleはiPhoneからiPad Proまで、同じOSを乗せたものをサイズを変えて一体何種類出してるんだ。しかもころころ変えるし。

ティム・クックはデータを重視しすぎだと思う。メジャーになっちゃったから、Think Differentできなくなった。これじゃThink Equalだ。みんな平等に楽しめるプロダクトを狙いすぎて、訳がわからなくなってる。

これは褒め言葉でもあり皮肉でもある。少なくとも株が一夜にして紙くずになることはまず無いだろうし、もしそうなったらウォーレン・バフェットと一緒に俺も泣くよ。でも万が一紙くずにするんだったら、せめてスティーブを思い起こさせるような衝撃を一度でも人々に与えて散ってくれ。

Read more

Inkdrop v6 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山

Inkdrop v6 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山

Inkdrop v6.0.0 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山 こんにちはTAKUYAです。 v6.0.0 の最初の Canary バージョンをリリースしました 😆✨ v6では、アプリのコア機能の改善がたくさん盛り込まれています! * リリースノート(英語): https://forum.inkdrop.app/t/inkdrop-desktop-v6-0-0-canary-1/5339 CodeMirror 6 ベースの新しいエディタ フローティングツールバー v5ではツールバーがエディタの上部に固定されており、使っていないときもスペースを占有していました。 v6では、テキストを選択したときだけ表示されるフローティングツールバーに変わりました。 GitHub Alerts 構文のサポート Alerts の構文が正しい色と左ボーダーでハイライトされるようになりました。 ネストされたアラートや引用にも対応しています。 また、アラートタイプの入力を支援する補完機能も追加されました。 スラッシュコマンド 空行で /

By Takuya Matsuyama
AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった

AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった

AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった こんにちは、TAKUYAです。日本語ではお久しぶりです。僕はInkdropというプレーンテキストのMarkdownノートアプリを、デスクトップとモバイル向けにマルチプラットフォームで提供するSaaSとして、かれこれ9年にわたり開発運営しています。 最近、その開発にClaude Codeを導入しました。エージェンティックコーディングを可能にするCLIのAIツールです。 最初の試行は失敗に終わったものの、徐々に自分のワークフローに馴染ませることができました。そして先日、アプリ開発がまた「楽しい」と感じられるようになったのです。これは予想外でした。 本稿では、自分がエージェンティック・コーディングをワークフローに取り入れた方法と、それが個人開発への視点をどう変えたかを共有します。 * 翻訳元記事(英語): Agentic coding made programming fun again 自分のアプリに技術的負債が山ほどあった ご想像のとおり、9年も続くサービスをメンテするのは本当に大変です。 初期の頃は新機能の追加も簡単で

By Takuya Matsuyama
個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ

個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ

個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ InkdropというMarkdownノートアプリを作り続けて7年になる。 お陰さまでその売上でずっと生活できている。 これまで個人開発でどう継続していくかについて「ユーザの退会理由をあれこれ考えない」とか「アプリの売上目標を立てるのをやめました」とか、ビジネス面あるいはメンタル面からいろいろ書いてきた。 今回は、技術面にフォーカスして、どう継続して開発していくかについてシェアしたい。 TL;DR * 最初はとにかく最速でリリースする事を最優先する * 迷ったら「ときめく方」を選べ * 程よいところで切り上げて開発を進める * 使っているモジュールがdeprecatedされるなんてザラだと覚悟する * 古いから悪いとは限らない * シンプルにしていく * 老舗から継続の秘訣を学ぶ * 運ゲー要素は排除しきれない 最初はとにかく最速でリリースする事を目標に技術選定する 開発計画とビジネス計画は切っても切り離せない。 コーディングに傾倒するあまり完璧主義に陥って結局リリース出来ないまま頓挫してしまう個人開発者は多い

By Takuya Matsuyama
子育て中の個人開発者の一日

子育て中の個人開発者の一日

子育て中の個人開発者の一日 どうもTAKUYAです。 久しぶりに生活まわりの事を書きたい。自分はInkdropというMarkdownノートアプリを売って生きている。 子供も無事順調に成長しており、あと数ヶ月で3歳になるというところで、イヤイヤ期もやっと終わりが見えてきた。 生活パターンもなんとなく定着しつつあるので、ここで一旦どんなルーティンなのか書き出してみる。ちなみに当方今年で40歳。 平日の1日の流れ * 06:30 妻と子供起床、朝食 * 07:10–30 俺起床、朝食 * 07:40 布団を畳んで子供を着替えさせる。妻はその間に化粧や通勤の準備 * 08:00 ストレッチと軽い筋トレ(腕立て50回、スクワット100回) * 08:10 妻と子供を見送る。15分前後瞑想 * 08:30 散歩 * 09:00 作業開始(カフェまたは家) * 11:00 昼飯 * 12:00 ダラダラする * 12:30 作業再開(だいたい家)

By Takuya Matsuyama