アプリで稼いだお金は全部投資に回す

アプリで稼いだお金は全部投資に回す

アプリで稼いだお金は全部投資に回す

InkdropというMarkdownエディタを一人で開発しています。9月時点で月15万円、12月は現時点で既に20万円を超えました。順調に伸びていて、いよいよフリーランス辞められそうな気がしてきました。どうやってアプリをゼロから成長させたかについては過去に書きました。本稿ではアプリの利益に対する考え方を書きたいと思います。

アプリの利益を生活費に回すのはもちろんですが、余剰金の使い道が今後のアプリの継続性を左右すると思います。売上とは何かを考えたとき、それは拍手の数だとドワンゴの川上量生さんが言っていました。つまり顧客の課金行動には「いいぞもっとやれ」という期待が込められているという事です。それを意識して使い道を考えるのが大事だと思います。

今後も更に売上が伸びて余剰金が増えた時、その顧客からの期待を無視して浪費に走れば短期的には気持ちよくなれますが、プロジェクトは徐々に廃れるでしょう。無駄に高いオフィスやマンションを契約したり、無駄に高い服を買ったり、よく分からない会員制バーに通ったり。見栄を張るためにお金を遣ってもプロジェクトは成長しません。

Amazonは利益のほとんどを投資にまわしていることが今年話題になりました。スケールは全然違いますが、基本方針としてそれは全く正しいでしょう。それを見習って、僕(=Inkdrop)はアプリがより継続して成長出来そうなものにお金を遣って行きます。例えば:

  • 受託開発の時間をアプリの開発に充てる
  • ゆっくり休んで体を壊さないようにする
  • 良い仕事道具を使う
  • 快適な仕事環境を作る
  • 経験や知識をより広げる
  • 人を雇う

それぞれ具体的に説明します。

単にお金だけ稼ぎたいのなら受託開発を沢山すればいいだけの話です。でもそうしないのは、自分の欲しいアプリを作るのが好きだからです。受託をしないで個人開発をするということは、その受託で稼げたであろう売上をアプリに投資する事に他なりません。機会費用です。

今はまだペイ出来るレベルではありませんが、以前よりも受託を減らせそうです。アプリの売上が更に伸びれば、最終的には受託をゼロにして100%アプリに投入出来ます。それは当初からの目標でもあるので、ぜひ実現したい。

30代になってから体力任せで仕事が出来なくなりました。無理をしないで健康的なペースで開発していきたいです。もし今入院しても、代わりにやってくれる人がいないからです。いくら好きなこととは言え、難しい課題に日々取り組んでいるとストレスが溜まります。焦らず適度に息抜きをして心身を労りたいです。一日ボ〜っと過ごすとかなり回復します。

新しいマットレス

最近、20万超えの良いマットレスを思い切って大塚家具で買いました。超フカフカで寝付きが良くなりました。前のベッドではなんか内臓が圧迫されるようでしんどかったのが劇的に改善しました。iPhone X買うよりベッド買った方が幸福度上がります、マジで。

より仕事を効率化するためにも、良い道具にはお金を惜しまず払います。良いモノや良いサービスに触れるのは勉強にもなります。もちろん、本当に必要だと思ったものしか買わないようにします。

直近では4年使ったiMacを買い換えようと思っています。VMware上のWindows 10が信じられないぐらい重かったり、Android EmulatorやiOS Simulatorがモサ付くので結構フラストレーションを感じています。そろそろRetina Display化もしたい。

自分にとって最も集中できる環境は自宅なのですが、より快適な環境作りも工夫して行きたいです。最近はエアコンをずっと付けっぱなしにしています。おかげで手がかじかむことが無くなりました。3年前までは1万円強のショボい机で作業していたのですが、IKEAでデッカい机を買ってすごく快適になりました。色が気に入らなかったので自分で塗装しました。椅子はアーロンチェアを使っています。

デスク周り以外も住環境として向上を図っていきたいです。最近はシーリングライトを調光機能付きのスポットライトに変えました。暖色の柔らかい照明でとても落ち着きます。夜の読書もしやすくなりました。

ロンドンで喋る中の人

開発ばかりしていては視野狭窄してしまいます。色んな本を読んだり、旅行をしたりして見聞を広めていきたい。それで新しいアイデアや出会いが得られたらめっけもんです。去年はパリに、今年はロンドンに行きました。ロンドンでは現地のデベロッパミートアップに参加して発表したり、友達を作りました。次はアジアに行きたい。

最近はスマートホームに興味があって、Google Home MiniとRaspberry Piを買いました。赤外線でエアコンを操作したい。カフェ巡りとカメラも続けたい。

入院しても代わりにやってくれる人がいないという問題はいずれ解決したいと思っています。

つい先日、海外のユーザさんから「俺を雇わないか?」という連絡が来てびっくりしました。まだその段階ではないと言って断りましたが、このプロジェクトに参加したいと願う人がいるという事が知れてとても嬉しかったです。パートタイムで簡単なものから任せられるようになれば、事業の継続性はより高まるでしょう。

観音クリエイションというDTMerの方が「稼いだお金全部使う」事を実践していて、参考になります:

今のところは良い影響ばかりで、「稼いだお金を貯金に回すよりも生活の質を上げる/ものや経験に投資した方が良いなー」という感想です

お金は流れの速いところに集まる、とよく言います。自分のところで堰き止めずにどんどん投資して社会に還元して行きましょう。

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なぜ体を壊してまで個人開発を頑張るのか?自尊心の欠如や過集中癖と向き合う

なぜ体を壊してまで個人開発を頑張るのか?自尊心の欠如や過集中癖と向き合う

どうもTAKUYAです。最近、個人開発を頑張りすぎて体調を崩してしまいました。アトピーが猛烈に悪化して、QoLが著しく下がってしまいました。まだ療養中ですが、毎日1万歩以上歩いて、徐々に回復しつつあります。 この過ちを繰り返さないためにも、自分は一体何が原因で頑張りすぎてしまうのか?という事について深堀りして考えてみたいと思います。また、個人開発におけるメンタルヘルスはあまり語られていないトピックだと思います。本記事が、同じように仕事を頑張りすぎてしまう人の助けになれば幸いです。 TL;DR * なんとなく続けていたソフト開発が自分を救った * 原体験が歪んだモチベーションを生んでしまった * 親が引くほどの過集中癖がある * 生得的な直せないバグと考えることにする * アプリの成功に関係なく、自分をあるがままに受け入れる * 挫折しないのは、なんだかんだで前向きだから * ユーザさんから「休め!」と叱咤された * 人生は長い。個人開発なんかで死ぬな 自己の原体験について振り返ってみる 個人開発だけで生活するようになって、かれこれ8年ぐらいが経ちます。こう

By Takuya Matsuyama
ユーザサポートの問い合わせを装った攻撃が怖すぎた

ユーザサポートの問い合わせを装った攻撃が怖すぎた

どうもTAKUYAです。個人開発をしていてアプリの知名度が上がってくると、作者個人(あるいはサイト管理人)を狙った攻撃というのをたまに受けます。つい先日も、怖すぎるメールを受け取ったのでシェアします。 件名: Cookie consent prevents platform access Hello, I cannot access use the store. The cookie consent notice keeps appearing and nothing happens once I approve or try to close it, so I’m unable to interact with the website. Please provide guidance on

By Takuya Matsuyama
万年ペーパーの自分が車の運転を楽しめるようになった理由

万年ペーパーの自分が車の運転を楽しめるようになった理由

どうもTAKUYAです。大学の入学前に免許を取って以来ずっとペーパードライバーで、都市生活では出来る限り運転は避ける生活を送っていた。事故を起こせば人を◯してしまう可能性もある代物を日常的に運転するなんて考えられなかった。 そんな自分に転機が訪れたのは、結婚して大阪に戻った事と、子供ができた事、そしてアウトドアに興味を持った事だ。大阪近辺だと箕面とか野勢、神戸、丹波篠山などが日帰りでドライブしやすい距離だ。それで、恐る恐るタイムズのカーシェアで時々ではあるが運転するようになった。 他の車も生きた人間が運転しているという驚き まず運転していて気づいたのは、他の車にも生きた人間が運転していると言う点だ。そんなのは当たり前だろと思うかもしれないが、結構新鮮な発見だった。Grand Theft Autoなどの現代をモチーフにしたゲームをプレイすれば分かるが、NPCの車の動きは鈍臭いのでガンガンぶつかる。プレイヤーの進行を予測した動きなどしないからだ。 しかし現実では相手も事故りたくないので、お互いに動きを読み合い、譲り合って運転する。ルードな運転手もたまにいるものの、どちらかがよっぽ

By Takuya Matsuyama
禅的思考: なぜInkdropはMarkdown独自拡張をしないのか

禅的思考: なぜInkdropはMarkdown独自拡張をしないのか

InkdropはMarkdownのノートアプリですが、Markdownの独自拡張は「絶対にやらない」と決めていて、それがアプリの哲学になっています。 Markdown(厳密にはGitHub-flavored Markdown)の強みは、ソフトウェア業界標準で広く使われてい緩い文書フォーマットという所です。 アプリの独自記法を加えてしまったら、あなたの書いたノートはたちまちそれらと互換性がなくなります。 「独自記法を加えた方が便利な機能が付けられるだろう」と思うかもしれません。もちろん実際Markdownは完璧な書式ではないため、必要な場面はいくつかあります。例えば画像のサイズ指定方法が定まっていない、など。それでも自分は、ノートの可搬性を第一にしてきました。その裏には禅にまつわる哲学があります。 日本の文化は周りの環境と対立するのではなく、溶け込もう、馴染ませよう、共生しようとする傾向があります。窓の借景、枯山水、建築の非対称性、茶室のシンプルさ、侘び寂びなどあらゆるところで見られます。 絵画における「減筆」の手法を例にとって説明します。 これは、描線を最小限に抑えながら絹や紙の

By Takuya Matsuyama