2018年の活動成果まとめ・来年やりたいこと

2018年の活動成果まとめ・来年やりたいこと

2018年の活動成果まとめ・来年やりたいこと

今年は立てていた目標がいろいろ達成できてとても良い1年でした。去年も総括して飛躍の1年と評していましたが、今年も飛躍できたと言えそうです。嬉しい。皆さんのおかげです。ありがとうございます。

僕の活動の指針は「プロプライエタリなプロダクトを作りつつ、そこで得た知見はオープンソースのマインドでどんどん公開していく」です。今後もそれは続けていきます。

  • アプリの売上だけで生計を立てて、受託ゼロを達成できた
  • Twitterのフォロワーが5,000人増えた
  • ブログ年間アクセス数が37万に達した
  • 持病と向き合って根治出来る見込みが出来た
  • YouTubeチャンネルを始めた
  • 個人開発を盛り上げるために考えていること

今年の成果といえば何といってもこれです。これまではフリーランスとして受託開発をしては当面の生活費を稼いで、減っていく口座の残高を見ながら自作アプリの開発に励むという活動形態でした。いつしかその残高の降下が止まり、逆に上がり始めたのはつい最近の事です。夢にまで見た生活がいつの間にか実現していました。楽しい。

晴れてその生計の柱となったInkdropの課金ユーザ数は、800人になりました。12月の売上は65万円です。目標の1,000人まであとひと踏ん張りです。かねてから僕は「1,000人が1人を食わせるモデル」の確立を唱えています。それが実現できれば情報発信にも箔が付いて、更に色々と面白いことが出来そうです。海外で10年も前から同様の事を言っている人が既にいたのを知って、嬉しくなりました:

A thousand customers is a whole lot more feasible to aim for than a million fans. Millions of paying fans is not a realistic goal to shoot for, especially when you are starting out. But a thousand fans is doable. You might even be able to remember a thousand names. If you added one new true fan per day, it’d only take a few years to gain a thousand. — Kevin Kelly千人の顧客は百万人のファンを目指すよりもずっと実現可能性が高い。特に何かを始める時、何百万人のファンを狙うのは非現実的だ。でも千人単位のファンの数ならイケる。それに、千人だったら名前も覚えられる。もし一日に一人のファンを作れたら、たった数年あればそれを達成できる。 — ケビン・ケリー

まったくその通りだと思います。僕らは従来の出版社などとは違い、メールひとつでファンといつでも個人的にやりとりできます。これは歴史的に見ると画期的なことです。商店街の八百屋スケールのビジネスを、全世界を対象に展開するのはもはや当たり前に可能なのです。

フォロワーの伸びも顕著でした:

日本語アカウントは年末までに5千人超えたら嬉しいな、ぐらいだったんですが、以下のツイートがバズっていきなり1,500人ぐらい増えました。びっくり。

フォロワー数はなかなかの規模になってきました。

個人開発では集客が一つの大きな壁です。しかしその方法はシンプルです。それは自分の学びや発見を普段からシェアすることです。すると少しずつ自分の周りに人が集まってきます。彼らは有益な情報と引き換えに、応援してくれたり口コミを広げる手助けをしてくれます。それをコツコツ数年間続けた結果が、上記の通りです。広告やスパムに手を出す必要はありません。

アプリをリリースしたら、サポート用のTwitterアカウントを別途開設する人が多くいます。僕はそれをオススメしません。もしプロダクトがクローズする事になった時、せっかくそこに集まったフォロワーさんが無駄になってしまうからです。上記の通り、個人開発はプロダクト単位ではなく人生単位で戦略を立てたほうが良いです。

ブログも今年はがんばりました。象徴的なのは上図をご覧の通り、10月の英語ブログのアクセス数です。Hacker Newsで以下の記事がバズったためです。

これについては以下の記事にまとめました:

ブログは本当に何があるか分からないものです。でも、そのいつ来るか分からない波に備えて出来ることはいくつかあります。そのブログの書き方については来年書きたいと思います。

末永く楽しく活動していくためには、健康が不可欠です。一時の成功を目指して体調をおろそかにした結果、動けなくなっては本末転倒です。自分には長い間アトピーの持病があります。その根治に向けてまとまった休みを取って治療に励みました。詳しくはこちらに書きました:

今では症状もかなり落ち着いて楽に生活できるようになって、本当にやって良かったです。薬が要らなくなったので、海外長期滞在が出来るようになりました。嬉しい。バリ島行こう。

ブログは文章能力が鍛えられるのに対して、動画は話す能力を鍛えられます。特に英語の話す力を鍛えたいので、英語でも併せて投稿することにしました。

ポッドキャストではなく動画を選んだ理由は、やっている人が少ないという理由ともう一つあります。僕は滅多にラジオを聴きません。そんな自分がポッドキャストをやっても続かなさそうだからです。YouTubeは毎日観ているし、慣れればブログと同じ要領で作れるかなと思いました。

上の動画はKeynoteのアニメーションを駆使して作りました。編集はしていません。iMovieで音楽を足しただけです。工夫すれば製作コストももっと抑えられそうです。

お陰様でさっそく購読者数が200人になりました。ありがとうございます。来年がんばって更新したいと思います。

自分のような人がもっと増えたら単純に面白いです。そして増える可能性は充分あります:

働き方の選択肢が増えるのは良いことですね。もちろん、個人開発は会社に勤めながらでも出来ます。最初は片手間に始めるのが一番だと思います。

プロダクトを作って、そのうちユーザが集まって、マネタイズが出来て、そしてフルタイムで活動に専念するようになる。その道を進もうという人がいる時、微力ながらも助けになれたら良いなと、最近ちょくちょく考えています。来年はそのための取り組みとして一つ試してみたい事があります。お楽しみに。

今年もいろんなことがありました。毎年なにが起こるのか全く予想が付かないので、面白いです。

ここまで読んでくださりありがとうございます。ではよいお年を!

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万年ペーパーの自分が車の運転を楽しめるようになった理由

万年ペーパーの自分が車の運転を楽しめるようになった理由

どうもTAKUYAです。大学の入学前に免許を取って以来ずっとペーパードライバーで、都市生活では出来る限り運転は避ける生活を送っていた。事故を起こせば人を◯してしまう可能性もある代物を日常的に運転するなんて考えられなかった。 そんな自分に転機が訪れたのは、結婚して大阪に戻った事と、子供ができた事、そしてアウトドアに興味を持った事だ。大阪近辺だと箕面とか野勢、神戸、丹波篠山などが日帰りでドライブしやすい距離だ。それで、恐る恐るタイムズのカーシェアで時々ではあるが運転するようになった。 他の車も生きた人間が運転しているという驚き まず運転していて気づいたのは、他の車にも生きた人間が運転していると言う点だ。そんなのは当たり前だろと思うかもしれないが、結構新鮮な発見だった。Grand Theft Autoなどの現代をモチーフにしたゲームをプレイすれば分かるが、NPCの車の動きは鈍臭いのでガンガンぶつかる。プレイヤーの進行を予測した動きなどしないからだ。 しかし現実では相手も事故りたくないので、お互いに動きを読み合い、譲り合って運転する。ルードな運転手もたまにいるものの、どちらかがよっぽ

By Takuya Matsuyama
禅的思考: なぜInkdropはMarkdown独自拡張をしないのか

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InkdropはMarkdownのノートアプリですが、Markdownの独自拡張は「絶対にやらない」と決めていて、それがアプリの哲学になっています。 Markdown(厳密にはGitHub-flavored Markdown)の強みは、ソフトウェア業界標準で広く使われてい緩い文書フォーマットという所です。 アプリの独自記法を加えてしまったら、あなたの書いたノートはたちまちそれらと互換性がなくなります。 「独自記法を加えた方が便利な機能が付けられるだろう」と思うかもしれません。もちろん実際Markdownは完璧な書式ではないため、必要な場面はいくつかあります。例えば画像のサイズ指定方法が定まっていない、など。それでも自分は、ノートの可搬性を第一にしてきました。その裏には禅にまつわる哲学があります。 日本の文化は周りの環境と対立するのではなく、溶け込もう、馴染ませよう、共生しようとする傾向があります。窓の借景、枯山水、建築の非対称性、茶室のシンプルさ、侘び寂びなどあらゆるところで見られます。 絵画における「減筆」の手法を例にとって説明します。 これは、描線を最小限に抑えながら絹や紙の

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Inkdrop v6 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山

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Inkdrop v6.0.0 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山 こんにちはTAKUYAです。 v6.0.0 の最初の Canary バージョンをリリースしました 😆✨ v6では、アプリのコア機能の改善がたくさん盛り込まれています! * リリースノート(英語): https://forum.inkdrop.app/t/inkdrop-desktop-v6-0-0-canary-1/5339 CodeMirror 6 ベースの新しいエディタ フローティングツールバー v5ではツールバーがエディタの上部に固定されており、使っていないときもスペースを占有していました。 v6では、テキストを選択したときだけ表示されるフローティングツールバーに変わりました。 GitHub Alerts 構文のサポート Alerts の構文が正しい色と左ボーダーでハイライトされるようになりました。 ネストされたアラートや引用にも対応しています。 また、アラートタイプの入力を支援する補完機能も追加されました。 スラッシュコマンド 空行で /

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AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった

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AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった こんにちは、TAKUYAです。日本語ではお久しぶりです。僕はInkdropというプレーンテキストのMarkdownノートアプリを、デスクトップとモバイル向けにマルチプラットフォームで提供するSaaSとして、かれこれ9年にわたり開発運営しています。 最近、その開発にClaude Codeを導入しました。エージェンティックコーディングを可能にするCLIのAIツールです。 最初の試行は失敗に終わったものの、徐々に自分のワークフローに馴染ませることができました。そして先日、アプリ開発がまた「楽しい」と感じられるようになったのです。これは予想外でした。 本稿では、自分がエージェンティック・コーディングをワークフローに取り入れた方法と、それが個人開発への視点をどう変えたかを共有します。 * 翻訳元記事(英語): Agentic coding made programming fun again 自分のアプリに技術的負債が山ほどあった ご想像のとおり、9年も続くサービスをメンテするのは本当に大変です。 初期の頃は新機能の追加も簡単で

By Takuya Matsuyama