2019年の活動成果まとめ・来年やりたいこと #DevAsLife

2019年の活動成果まとめ・来年やりたいこと #DevAsLife

2019年の活動成果まとめ・来年やりたいこと #DevAsLife

どうもTAKUYAです。今年も個人開発の活動でいろいろ成果が上がったので、ざっくり振り返りつつ来年の展望を語りたいと思います。去年の成果まとめはこちら

開発:ユーザサポート:マーケティング = 4:2:4

僕の活動の中心はInkdropというMarkdownノートアプリの開発で、その売上で生活しています。その活動はプログラミングだけではなく、ユーザサポートはもちろん、ブログを始めとした様々なマーケティングを行っています。その時間の比率はだいたい「開発:ユーザサポート:マーケティング = 4:2:4」です。ずっと開発していたい欲求をぐっとこらえながら、他の作業もこなします。時間単位で区切っている訳ではなく、作業の区切りがいい所で切り替えます。ちなみにこの比率は、Inkdropリリース当初からずっと一定で変わっていません。という訳で、個人開発の成果にはアプリの売上やユーザ数だけでなく、SNSのフォロワー数の伸びなども含めます。

活動指針「Dev as Life」

さて、成果を振り返るにあたり念頭に置きたい点がひとつあります。Inkdropは課金ユーザが1,000人を超えたあたりから、充分な余裕をもって生活を営めるようになりました。今後も継続して活動していくにあたり、最近は売上を始めとした数値目標を持つのをやめました:

アプリの売上目標を立てるのをやめました
お金は短期的なモチベにしかならない / 「より大きく」ではなく「より良く」を目指す / 足るを知る / 人生は一度きりだから開き直る

Gumroad作者のSahil氏も、最近以下のようにツイートしていて共感しました:

なので数字をただ追いかけるのではなく、理想のライフスタイルを追い求める方向で活動をしていきたいと思っています。その指針を一言で表すと、「Dev as Life(デヴ・アズ・ライフ)」です。 “Dev”は “Development” の略です。

“Dev as Life” は英語ブログのタイトルであり、YouTubeチャンネルの名前です。これは落合陽一氏の提唱する「Work As Life」をもじったコンセプトです。これまでの働き方では、仕事とプライベートは分けて当たり前でした。つまり対立項だったのです。一方、Work As Lifeは、やりたいことが仕事とプライベートで重なっている価値観の考え方です。ゲームを寝食忘れてやっていたら、それでお金が稼げるようになった。これがWork As Lifeの一例です。同様に、アプリ開発(Development)を「生きる手段ではなく目的」として人生の中に位置づけよう、というのが “Dev as Life” のコンセプトです。

つまり大好きなアプリ開発で、日々のお金を気にせず生きていく。やりたくない事を最小化して、やりたい事を最大化する。そのための戦略や戦術を実践しながら、そこで得た知見を発信していきたいと思っています。もしこの考えに共感していただけたら、ぜひ「#DevAsLife」とハッシュタグを付けてツイートして下さい。一緒にこの生き方を広めましょう!

成果まとめ: 売上は前年の2倍に

2019年と2018年の月別売上

前置きが長くなりましたが、以下が今年の成果概要です。去年の実績と比較して表記します。

  • アプリ年間売上: 397万円 → 776万円
  • 課金ユーザ数: 804 → 1,429人
  • Twitterフォロワー数(@craftzdog): 6,400 → 9,190人
  • Twitterフォロワー数(@inkdrop_app): 1,217 → 2,081人
  • YouTubeチャンネル購読者数(DevAsLife): 200 → 1,340人

Inkdropの新バージョンのローンチに無事成功したのが、アプリ成長の最も大きな要因です。Hacker Newsにも話題に登りました。その時の成果と考察はこちらに書きました:

アプリの新バージョンのローンチをどうやって成功させたか
あらかじめ観衆を作り上げる、推薦文をお願いする、パワフルなランディングページを作る、Hacker Newsのコミュニティには自然体で正直に接しよう

前述の通り数値目標はありませんので、改めて特に考察はしません。順調に伸びていて嬉しいな、ぐらいです。来年も数字に拘らずマイペースにやっていきます。健康を保ち、バーンアウトしない事が第一です。

来年は自己ブランディングに挑戦する

もう既に少しずつ試みているんですが、来年やりたい事があります。それは自己ブランディングです。つまりTAKUYAという個人開発者のイメージづくりです。その狙いは当然、アプリのマーケティングです。

例えば将来的に新しいアプリを作るとなった時、その成功率を少しでも上げるには「TAKUYAのアプリを応援してくれる人」を増やすことだと考えています。アプリへの関わり方は何もユーザになることだけではありません。口コミを広げたり、フィードバックを送ることも有意義な関わり方です。

Inkdropはたまたま自分と同じような開発者向けアプリだったので、その開発の学びを共有する事が直接的に集客に繋がりました。でも今ぼんやり考えているアプリは開発者向けではないので、同じやり方は通用しないだろうという懸念があります。この取り組みはその対策です。

そこで、個別のアプリではなく、自分の活動全般を応援してくれるようなコミュニティ作りを少しずつしようと計画しています。日本で上手くやっている人といえば、モテクリエイターのゆうこすさんが有名ですね。彼女の周りには、かわいくなりたいと願う女性が沢山集まっています。個人開発者でも同様に出来るのではないかという仮説を立てました。海外ではiOSデベロッパーの Edouard 氏が開発の様子をInstagramで発信して2万人のフォロワーを集めています。

という訳で、自分でもInstagramとYouTubeの投稿を試みています。Instagramでは、僕はカフェが大好きなので、カフェで自撮りをがんばって投稿してみたりしています。

上記投稿では、カフェでの作業がなぜ好きか、という事について語っています。上手くいくかどうか分かりませんが、まったり続けたいと思います。YouTubeでは既にいくつか投稿しているような開発ネタから、ライフスタイルのような話題も上げていきたいと思っています。現時点でチャンネル登録者数は1,300人を超えたので、手応えは感じています。最近の投稿はこちら:

顔出しして、自撮りして、正直めっちゃ恥ずかしいです。なんだかチャラい。プログラマーは黙々と画面にかじりついてコーディングしてこそだという考え方もあるでしょう。同意します。でもDev as Lifeの生き方を貫くには、他の人があまりやっていない新しい事にも挑戦していく必要性があると考えています。他人にどう思われるか気にしている場合ではありません。

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万年ペーパーの自分が車の運転を楽しめるようになった理由

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どうもTAKUYAです。大学の入学前に免許を取って以来ずっとペーパードライバーで、都市生活では出来る限り運転は避ける生活を送っていた。事故を起こせば人を◯してしまう可能性もある代物を日常的に運転するなんて考えられなかった。 そんな自分に転機が訪れたのは、結婚して大阪に戻った事と、子供ができた事、そしてアウトドアに興味を持った事だ。大阪近辺だと箕面とか野勢、神戸、丹波篠山などが日帰りでドライブしやすい距離だ。それで、恐る恐るタイムズのカーシェアで時々ではあるが運転するようになった。 他の車も生きた人間が運転しているという驚き まず運転していて気づいたのは、他の車にも生きた人間が運転していると言う点だ。そんなのは当たり前だろと思うかもしれないが、結構新鮮な発見だった。Grand Theft Autoなどの現代をモチーフにしたゲームをプレイすれば分かるが、NPCの車の動きは鈍臭いのでガンガンぶつかる。プレイヤーの進行を予測した動きなどしないからだ。 しかし現実では相手も事故りたくないので、お互いに動きを読み合い、譲り合って運転する。ルードな運転手もたまにいるものの、どちらかがよっぽ

By Takuya Matsuyama
禅的思考: なぜInkdropはMarkdown独自拡張をしないのか

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InkdropはMarkdownのノートアプリですが、Markdownの独自拡張は「絶対にやらない」と決めていて、それがアプリの哲学になっています。 Markdown(厳密にはGitHub-flavored Markdown)の強みは、ソフトウェア業界標準で広く使われてい緩い文書フォーマットという所です。 アプリの独自記法を加えてしまったら、あなたの書いたノートはたちまちそれらと互換性がなくなります。 「独自記法を加えた方が便利な機能が付けられるだろう」と思うかもしれません。もちろん実際Markdownは完璧な書式ではないため、必要な場面はいくつかあります。例えば画像のサイズ指定方法が定まっていない、など。それでも自分は、ノートの可搬性を第一にしてきました。その裏には禅にまつわる哲学があります。 日本の文化は周りの環境と対立するのではなく、溶け込もう、馴染ませよう、共生しようとする傾向があります。窓の借景、枯山水、建築の非対称性、茶室のシンプルさ、侘び寂びなどあらゆるところで見られます。 絵画における「減筆」の手法を例にとって説明します。 これは、描線を最小限に抑えながら絹や紙の

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AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった こんにちは、TAKUYAです。日本語ではお久しぶりです。僕はInkdropというプレーンテキストのMarkdownノートアプリを、デスクトップとモバイル向けにマルチプラットフォームで提供するSaaSとして、かれこれ9年にわたり開発運営しています。 最近、その開発にClaude Codeを導入しました。エージェンティックコーディングを可能にするCLIのAIツールです。 最初の試行は失敗に終わったものの、徐々に自分のワークフローに馴染ませることができました。そして先日、アプリ開発がまた「楽しい」と感じられるようになったのです。これは予想外でした。 本稿では、自分がエージェンティック・コーディングをワークフローに取り入れた方法と、それが個人開発への視点をどう変えたかを共有します。 * 翻訳元記事(英語): Agentic coding made programming fun again 自分のアプリに技術的負債が山ほどあった ご想像のとおり、9年も続くサービスをメンテするのは本当に大変です。 初期の頃は新機能の追加も簡単で

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