最近のプログラマー系YouTuberの分析と差別化メモ

最近のプログラマー系YouTuberの分析と差別化メモ

最近のプログラマー系YouTuberの分析と差別化戦略メモ

This note is my analysis on YouTube channels which are especially in a programming topic in Japan towards considering a strategy for making my YouTube channel.

どうもTAKUYAです。拙作アプリのマーケティングの一環として、1年ぐらい前から自分もYouTubeで情報発信を始めた。ありがたいことに購読者数が1,400人を超えた。普通は「毎日沢山投稿しろ」と言われるが、動画はクオリティ重視で日本語と英語合わせて10本しかアップしていない。手応えありと言える。

さて、今後も続けていくにあたって既存の日本のプログラマー系YouTuberの分析をする。戦わないために。今後YouTubeチャンネルを作ろうと考えている人にも参考になれば幸いである。

職業プログラマ(志望)を対象とするものがほとんど

世の中のプログラマーは大きく分けて2種類いる:

  1. (手段タイプ) プログラミングを「職業」として割り切っている人々
  2. (目的タイプ) プログラミングを「趣味」として楽しんでいる人々

もちろん両方の属性を持つ人もいる。そして今人気のあるチャンネルのほとんどが1.の人々に向けた情報を発信している傾向が強い。例えば「未経験でも○ヶ月で○万円稼ぐには」とか、WordPress案件がどうとか、転職とか、「効率よくプログラミングを習得するには暗記するな」云々である。なぜならマーケットが大きいからである。それは昨今のプログラミングスクールの隆盛から見て取れるし、自分のフォロワーさんの中にもNewbieをちらほら見かけるので実感がある。

対して、俺にとってプログラミングは趣味の延長だ。自分で作りたいものがあり、その時間をいかに最大化し、実現し、続けていくかが人生の中心。その一環として「Dev as Life」というライフスタイルを提唱して、動画の内容も主に個人開発関連に絞っている。この方向性を変えてはいけない。それが拙チャンネルの個性とも言える。

チャンネル規模として何十万人もの購読者を抱える必要は無いと思っている。内容はニッチでいい。アプリ自体がそもそもニッチだし。○万回再生とか、数ばかりを追わない。

セミナーやサロン・情報商材でマネタイズしている

プログラマー系に限らず、YouTubeを軸にしたビジネスモデルは既に定型化しつつある。その流れは以下の通り:

  1. 無料で動画やブログを発信して沢山人を集める
  2. その人たちをセミナーやサロン・情報商材といった自身のプロダクトに誘導する

YouTubeそのものの広告収入に加えて、上記が主な収入源と見られる。つまり彼らはプロBlogger/Vloggerであり、彼らにとってのプロダクトとは「情報そのもの」である。賛否両論あるだろうが、ここでは言及しない。

では自分はどうかというと、そもそもYouTubeをやる目的がアプリのマーケティングであるという点ですでに異なる。自分にとってのプロダクトは情報ではなくInkdropというMarkdownノートアプリである。だからセミナーもサロンも情報商材もやらない。少なくとも今はそこに時間と労力をかけるべきではない。KPIを強いて挙げるなら、再生回数ではなくアプリの登録者数である。

何より、自分のようにアプリで実際に稼いでその知見を共有しているチャンネルは希少。そこが大きな差別化ポイントだろう。

実際に手を動かして見せる人が少ない

具体的な動画の内容について考察する。すぐに分かるのは、「こうすれば上手くいく」という戦術論が多いこと。年収を上げるためにはどの言語を学習すればいいかとか。それだけウケがいいのだろう。しかし実際にコーディングして見せることは無い。コーディング作業はぶっちゃけ地味なので、見せてもパッとしないからというのが理由として考えられる。

でも以前「tmuxとvimによる開発作業フロー」という動画を投稿したら非常に好評だった:

英語版も同様に好評だった。なのでこのネタは一つの差別化の種になるだろう。

透明性を大事にする

YouTuberって謎めいた人が多い。取引先との関係性もあるだろうから、作ったモノや収入などを簡単に明かせないという事情もあるだろう。自分の場合はInkdropというアプリが主な収入源で、その売上も以下のように公開している:

だから「具体的に何でいくら稼いでいる人か分かる」という透明性は信用にも繋がるし、一つの差別化になるだろう。

「自分が知りたかったこと」を発信する

以上、自分なりにプログラマー系YouTuberを分析してみた。基本的には以前書いたブログの戦略と同じで、むやみにウケやバズを狙わず「昔の自分が知りたかったこと」を地道に発信するに限る。

一人でも出来る!ユーザを引き寄せるためのブログ術
ブログで人を喜ばせる。そのために工夫したこと。

つまり情報発信とは問題解決であり、誰かを喜ばせることに他ならず、それはYouTubeでも同じだ。という訳で投稿がんばろう。

YouTubeチャンネル “Dev as Life”

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Inkdrop v6 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山

Inkdrop v6 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山

Inkdrop v6.0.0 Canary版リリースしました — 新Markdownエディタやその他新機能盛り沢山 こんにちはTAKUYAです。 v6.0.0 の最初の Canary バージョンをリリースしました 😆✨ v6では、アプリのコア機能の改善がたくさん盛り込まれています! * リリースノート(英語): https://forum.inkdrop.app/t/inkdrop-desktop-v6-0-0-canary-1/5339 CodeMirror 6 ベースの新しいエディタ フローティングツールバー v5ではツールバーがエディタの上部に固定されており、使っていないときもスペースを占有していました。 v6では、テキストを選択したときだけ表示されるフローティングツールバーに変わりました。 GitHub Alerts 構文のサポート Alerts の構文が正しい色と左ボーダーでハイライトされるようになりました。 ネストされたアラートや引用にも対応しています。 また、アラートタイプの入力を支援する補完機能も追加されました。 スラッシュコマンド 空行で /

By Takuya Matsuyama
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AIのお陰で最近辛かった個人開発がまた楽しくなった こんにちは、TAKUYAです。日本語ではお久しぶりです。僕はInkdropというプレーンテキストのMarkdownノートアプリを、デスクトップとモバイル向けにマルチプラットフォームで提供するSaaSとして、かれこれ9年にわたり開発運営しています。 最近、その開発にClaude Codeを導入しました。エージェンティックコーディングを可能にするCLIのAIツールです。 最初の試行は失敗に終わったものの、徐々に自分のワークフローに馴染ませることができました。そして先日、アプリ開発がまた「楽しい」と感じられるようになったのです。これは予想外でした。 本稿では、自分がエージェンティック・コーディングをワークフローに取り入れた方法と、それが個人開発への視点をどう変えたかを共有します。 * 翻訳元記事(英語): Agentic coding made programming fun again 自分のアプリに技術的負債が山ほどあった ご想像のとおり、9年も続くサービスをメンテするのは本当に大変です。 初期の頃は新機能の追加も簡単で

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個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ

個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ

個人開発を7年以上続けて分かった技術選択のコツ InkdropというMarkdownノートアプリを作り続けて7年になる。 お陰さまでその売上でずっと生活できている。 これまで個人開発でどう継続していくかについて「ユーザの退会理由をあれこれ考えない」とか「アプリの売上目標を立てるのをやめました」とか、ビジネス面あるいはメンタル面からいろいろ書いてきた。 今回は、技術面にフォーカスして、どう継続して開発していくかについてシェアしたい。 TL;DR * 最初はとにかく最速でリリースする事を最優先する * 迷ったら「ときめく方」を選べ * 程よいところで切り上げて開発を進める * 使っているモジュールがdeprecatedされるなんてザラだと覚悟する * 古いから悪いとは限らない * シンプルにしていく * 老舗から継続の秘訣を学ぶ * 運ゲー要素は排除しきれない 最初はとにかく最速でリリースする事を目標に技術選定する 開発計画とビジネス計画は切っても切り離せない。 コーディングに傾倒するあまり完璧主義に陥って結局リリース出来ないまま頓挫してしまう個人開発者は多い

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子育て中の個人開発者の一日

子育て中の個人開発者の一日

子育て中の個人開発者の一日 どうもTAKUYAです。 久しぶりに生活まわりの事を書きたい。自分はInkdropというMarkdownノートアプリを売って生きている。 子供も無事順調に成長しており、あと数ヶ月で3歳になるというところで、イヤイヤ期もやっと終わりが見えてきた。 生活パターンもなんとなく定着しつつあるので、ここで一旦どんなルーティンなのか書き出してみる。ちなみに当方今年で40歳。 平日の1日の流れ * 06:30 妻と子供起床、朝食 * 07:10–30 俺起床、朝食 * 07:40 布団を畳んで子供を着替えさせる。妻はその間に化粧や通勤の準備 * 08:00 ストレッチと軽い筋トレ(腕立て50回、スクワット100回) * 08:10 妻と子供を見送る。15分前後瞑想 * 08:30 散歩 * 09:00 作業開始(カフェまたは家) * 11:00 昼飯 * 12:00 ダラダラする * 12:30 作業再開(だいたい家)

By Takuya Matsuyama